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歯科医学領域における鍼灸治療の有用性ー矯正治療と鍼灸治療を統合した2症例

2020年6月22日

はじめに

顎口腔顔面領域においても、今患者に現れている症状を改善することに注力しがちな西洋医学に対し、東洋医学を由来とする鍼灸では、症状へのアプローチはもちろん、全身の血流や気の流れを改善することで、標治のみならず本治というさらなる改善を期待できる。

しかし実際、鍼灸師の多くの先生方は顎口腔顔面領域に対して苦手意識をお持ちなのではないかと思う。そこで本稿では、歯科領域の疾患に対しての鍼灸治療と、歯科医学領域の矯正治療と鍼灸治療との統合医療の実践症例を紹介する。ご一読いただき、ぜひ明日からの臨床で実践していただければ幸いである。

症例報告

1.歯科ユニットサイドでの顎口腔顔面領域疾患における鍼灸治療の一症例

【症例報告の目的】
現代医学である歯科医療の領域である顎顔面領域疾患における三叉神経痛に対する歯科鍼灸の実践症例を報告する
【患者】
59歳、男性

【主訴】
顔面部の突発的な痛み

【初診】
X年10月、特発性三叉神経痛と担当医が診断

【治療と経過】
洗顔時、髭剃り時に左側顔面部の突発的な痛みが生じる。咀嚼時、鼻の横を掻くときにも痛みが生じる。頚・肩こり、腰痛、冷え性を有しており、口呼吸ではないが、姿勢は猫背であった。帯状疱疹なし。テグレトールを服用。副作用と思われる眠気が出て以降、服用量を少し控えたいとの意向のため、鍼灸治療を併用した。

不定愁訴への鍼灸治療では血液循環改善、疼痛閾値上昇を目的とし、第1枝に対しては陽白、曲差、頭維。第2枝に対しては四白、承泣、迎香。第3枝に対しては大迎、頬車、地倉に刺鍼した。使用した鍼は1寸6分-2番(50mm-18号)また灸治療には、セイリン社の電気温灸器を用い、三叉神経のそれぞれの走行に沿って血液循環の改善を目的として施術を行なった。治療ペースは初診時から症状が軽減するまでは1週間に1回、それ以降は1ヶ月に1回とした。

【考察とまとめ】
歯科臨床においてよく見かける顎関節症や三叉神経痛、ドライマウス、口腔乾燥症などに対する鍼灸治療の効果は、日々の臨床のなかで実感しており、また文献でも多数見受けられる。

今回のケースは、鍼灸院にあるような治療ベッドではなく、歯科医院に常備されている歯科ユニットにおいて行われた治療である。治療は主に座位で行うことが多いが、ユニットは可動式であるため、座位に限らず背臥位や腹臥位になることも可能である。

座位治療をするうえで気をつけなければならないのは、頭部に近い顎や頬に鍼灸治療を加えるので、血流が上行しやすく、脳貧血などの症状を招きやすい点である。

よって患者にはユニット上で座位姿勢をとってもらい、血液循環を考えて下肢から治療を行なっていくことがポイントである(図2)。この点を注意すれば、鍼灸治療で歯科領域の疾患に対し著効を引き出すこと十分可能であると考える。


2.開口(上下前歯が閉じない)症例を統合医療により治療へ導いた一症例

【症例報告】
歯科医療の一分野である矯正歯科治療において、統合医療を実践したという報告はさほど多くはない。ここでは一般歯科治療、矯正歯科治療、並びに鍼灸治療を用いることで、開咬症例を改善し、多く抱えていた不定愁訴をも改善できた症例を報告する。

開口症例は臼歯部のみの咬合になってしまうため、咬合圧が集中してしまう。そうすると欠損が早まるのみならず、その圧の衝撃のため頸肩部や腰背部に張りが生じやすいといわれている。

【患者】
28歳、女性

【主訴】
前歯が噛めない

【初診】
X年X月。上下顎前歯部開咬を伴ったアングルⅢ級※1と診断

【治療と経過】
顎関節症(痛みあり、雑音あり、開口障害あり)、頚・肩こり、腰痛、偏頭痛、冷え性を有しており、舌癖あり、咬合は前歯部に開咬を伴うアングルⅢ級症例、口呼吸も見られ、姿勢は猫背であった。

不定愁訴への治療としては、開咬・口呼吸に対してはTCH(歯列接触癖)・あいうべ体操※2による鼻呼吸の指導にて改善を図った。また、術後の疼痛には葛根湯を用いた。

証としては腎陽虚とし、漢方薬は八味地黄丸、十全大補湯を用いた。鍼治療ではそれぞれ、顎関節症には下関、大迎、頬車、人迎。腎陽虚には太渓、足三里、腎兪を用いた。患者の協力度も良好であり、不定愁訴であった顎の痛みやクリック音※3、開口障害、頚・肩のこり、腰痛、片頭痛、冷え症が改善ないしは軽減した。

また、患者は歯列の問題で左右の大臼歯部のみでの咬合する状態であったため、矯正治療にて咬合時に小臼歯までしっかりと当たり、かつ犬歯が側方運動時にガイドするように改善を図った。

まず矯正装置であるマルチブラケット装置を装着、Ni-Tiワイヤーの.014inchにてレベリング※4を開始した。動的治療7ヶ月後が経過した時点で上下顎ともに歯の整直が終了したため、続いてSSワイヤーの.016×.022inchを装着し、スペースクローズを開始した。上顎前歯の舌側傾斜を防止するべくワイヤーにたわみを付与し、可及的に弱い力と顎間ゴムwとを併用し、上顎前歯唇側傾斜を改善した。

その後、上下顎ともにトルクコントロール、ディテーリングを行い、個々の歯の緊密な咬合関係を確立したのち、装置を撤去し動的治療を終了した。動的治療期間は2年0ヶ月であった。なお、矯正後の歯が元の位置に戻らないよう保定する装置としては、上顎にはBegg type retainer、下顎にはHaw-ley typeを使用した。
※1〜4の解説

【考察とまとめ】
この症例では、多くの不定愁訴を抱えた患者との信頼関係を構築していく過程のなかで、日常の噛み癖を見つめ直してもらうことから始め、全身へのアプローチ、矯正治療とステップを進めることができた。

最後の咬合位を確立する段階までの間に不定愁訴の改善に貢献できたことは、歯科と鍼灸による治療が、統合医療の旗印の下にそれぞれの領域の責務を全うした結果と考える。保定終了後の咬合関係は良好であり、今後も定期観察していく予定である。

おわりに

本稿では、歯科領域の疾患に対しての鍼灸治療と、歯科医学領域の矯正治療と鍼灸治療との統合医療の実践症例を紹介した。顎口腔顔面領域への鍼灸治療における教育体系の整備は、私自身も鍼灸大学の学生や講師を経験していきて、現代医学・東洋医学の教育が不十分な領域であること、指導者が多くないことも理解している。だがそれで手をこまねいていては、進歩はないだろう。

本稿が歯科医師と鍼灸師が協力し、一つひとつ症例を積み重ねていける環境の構築に貢献できれば幸いである。

 
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